☆この曲はのあらっさん『夏の夕暮れ』という曲です。 |
工務店と設計者従来、工務店は設計から施工までを一貫して受け、その会社独自の方針を貫いていました。そのため、外部とは積極的に接触をすることはなかったようです。(一部には設計事務所と共に仕事をする工務店もありましたが、それほど多くはありませんでした。)だから工務店に所属している設計者は、建て主のこだわりやデザインを重視するよりも、それまで工務店が培ってきた住宅を踏襲した設計をする、または工務店にとって造り易い住宅を設計する等の傾向があったように思われます。その独自性は、『○寸角柱、総檜造り』なんていう瓦屋根の和風住宅が“どうだ〜”という感じで前面に押し出されている新聞チラシにも見ることができます。その会社の一押し、自信作なんでしょう。これはこれで檜神話が生きている年配の方々の心を掴むのかもしれません。ある意味、木にこだわる年齢層の方々が、「やっぱり家は檜だよ」と声高らかに語っているのを時々耳にします。檜は建築材料としては優良材です。日本書紀にも「杉と樟(くすのき)、このふたつの木は船を造るのによい。檜は宮を造る木によい。」とあるように、神話の時代から最高の建築材として尊ばれてきました。加工しやすく、耐水性に優れ、適度な硬さがある檜は、構造材から内外装材まで幅広く使われています。特に心材の耐久性が高いようで、世界最古の木造建築である法隆寺も檜を使っています。だからそのチラシからは上質な木材を使っているというのは伝わってきます。だけどそのデザインはなんとも私には古臭く、野暮ったいように感じられてしまうのです。住宅に対するニーズは多様し、こだわりをもつ建て主が増えてきました。得意分野の家だけを造り続けていくだけでは、時代の変化に対応できなくなっているように思われます。最近の新聞チラシによく見られる“建築家と建てる家”というキャッチフレーズからも、家造りに対する工務店の姿勢が変化を感じます。 また住宅に関する問題がマスコミに取り上げられたりして、建て主の方も今までのように工務店に頼んでしまえば大丈夫とは一概には考えなくなってきたようです。“建築についての下調べをしていく内に、工務店任せでいいのかという疑問が消えません。当然、工務店の設計士が来るということですので工務店に有利な建築がされてしまうおそれがありませんか。”という質問がありました。 “工務店に有利な建築”という危惧さの中には、設計面や施工面、そして金額的な側面が含まれているだろうと推測します。設計を設計事務所に頼むことで工務店との間にワンクッションはいることになります。設計事務所は建て主と設計委託契約を結び建て主の代理になって施工会社と折衝することになるためフェアーな仕事を期待していただけるのではないでしょうか。これからは設計事務所に設計を、工務店には施工をというような形態が増えていくのかもしれません。 そして独立した設計者に頼もうという考えをお持ちになったら一歩進んで、その設計者の仕事をよく知ってから頼まれた方が良いと思います。建築家によっては数寄屋造りのように和風が得意な方、コンクリートを打ちっぱなしのモダンが得意な方、または両方を器用にこなす方等様々です。その建築家がどんな建物を造っているかを事前に理解することが大切です。そして建築雑誌やHP等で“こんな住宅が良いなあ”、“この設計者の住宅が素敵だなあ”と思ったら、その住宅を実際に見学してみることをお奨めします。やはり写真だけではよく分からないことが多いので、現地に赴いて実際の空間を感じることが大切です。お店に入って“なんか落ち着くとか居心地がいいじゃない”と思ったことはありませんか。それはその空間と感性があうからでしょう。住まいは長く生活する場所です。そんな居心地の良い空間で暮らしていけたらそれに越したことはありません。そんな感性が合う設計者を見つけることは、建築後の生活を考える上で意外と重要な意味合いを持っているように思います。 |
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