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村松篤設計事務所は、静岡県の西部、浜松市にあります。

お問い合わせはTEL.053-478-0538

〒432-8002 静岡県浜松市中区富塚町1933-1

 ☆この曲は月夜のピアノのAIさんの『優しい月』という曲です。 
  
  

 やっぱり住みたい新築の家!!

 友人が中古住宅を購入したというから、遊びに行った。庭もあって、平屋のこじんまりした家だった。玄関を入ると、廊下を挟んで北側にキッチン、風呂などの水まわりと子供部屋があり、南側に客間と寝室があった。庭に面した一番陽当たりのいい部屋が客間として使用されていて、普段は使われていないようで、なんだか勿体無いような気がした。(まあ、大きなお世話なのだが・・・。)前の住人の意向が反映しているのか、ひとつひとつの部屋が狭く独立していて、間取りが少し古臭いかなと思った。家に合わせて生活していかなければならない、そんな気がしてちょっと窮屈かなとも思った。やっぱり新築住宅に住みたいものだ。

 そうは言っても住宅を新築するということは、すごいエネルギーを必要とする。土地があるということならまだしも、土地探しからはじめて住宅までもということになると、時間も掛かるし、資金繰りも大変になってくる。土地そのものを購入する費用だってばかにならない。そのうえ住宅までもとなると予算が心配になるのも無理はない。よく『建坪50坪ぐらいで予算はいくら位になりますか?』という質問をされる。でも、それだけの条件でお答えするというのはなかなか難しい。ハウスメーカーのように、ある程度企画商品としての住宅の設定がされている訳ではないからだ。お客様毎に要望や諸条件だって異なっている。どの家ひとつとっても同じものはない。たとえば、ファッションでいうならオーダーメイド、もしくはオートクチュールかな。依頼を受けたお客様の要望を聴いて、その人にあったデザインを考え、素材を選び、その人の寸法で仕立て上げる。その人だけの一点もの。住宅の場合も同じようにその人(家族)だけの一点ものなのだ。

 設計事務所に設計を依頼してくる人達は、住居にこだわりを持っているし、期待(夢)も強い。そのため必然的に要望も多くなるようだ。所長もそんな家族の希望をかなえたいと努力を惜しまないが、どの家族も100%要望どおりの家を建てることがてきるという訳ではない。そこには前述した予算という壁が立ち塞がっている。打合せを重ねながら、所長がお客様の要望と予算との間に立って、「このままでは予算をオーバーしてしまいますよ。」と何度となく説明しているが、熱くなっている建て主側は何とかなるだろうと聞く耳を持たないことが多い。見積書が出来上がってきてはじめて気がつく。案の定、予算オーバーなのだ。私はこのような状況で溜息をついている所長を何度見かけたことだろう。

 そこで予算の見直しが始まる。まずは水まわり(キッチン、トイレ、風呂等水を使用する場所)。水まわりは建築費の割合で考えると、他の部分よりも費用が掛かっている。そのため、その部分を見直すことで金額的な調整の幅が大きくなるのだ。たとえば、システムキッチンをスタンダードのものに変えたり、トイレをひとつに変更したり、ジェットバスを諦めていただく。そして他の部分でも同様に調整をしていく。それでもまだ予算が合わない場合は、いよいよ建て主登場。自ら塗装をしたり、タイルを張ったりと、自分達で可能な部分で家づくりに参加していただくのだ。返ってこのように家づくりに参加することで、家に対する愛着も強くなるようだ。

 住宅を新築するにあたって、すべてにこだわることは出来ない。すべてにこだわることのできる人は、羨ましいとは思うが、今だそんな人にお目にかかったことはない。『何に一番こだわりたいか』、それを家族で話し合って、こだわるところはこだわり、削るところ(諦めるところ)は削っていく。それが大切なんだろうと思う。


 コッコハウス登場

 フジテレビのプロデューサーの方から、「村松さんの設計した住宅を雑誌で拝見して、ぜひフジテレビのスーパーニュースでとりあげたい。」という連絡を頂いた。建主のHさんに連絡をとったところ、快くお引き受けいただくことが出来たので、さっそく取材ということになった。取材には、施工を担当したT社の社長さん達も駆けつけた。社長さんは「芸能人が来た。芸能人が来た。」と大はしゃぎ。レポーターの迫さんとも話が出来たとご満悦だったという。Hさん以上に周りが盛り上がった取材は、夕方近くまでかかって、無事終了した。

 当初、放送は3月の下旬に予定されていたが、地震があったり、政局が不安定だったりと延びに延び、先月の20日にようやくオンエアされた。ただ関東ローカルのコーナーだったので、こちらではリアルタイムに見ることは出来なくて、テレビ局から送られてくるビデオを楽しみに待っていた。先日ようやくそのビデオが届いたので、さっそく所長と観賞した。

 スーパーニュースのなかのこのコーナーは、スーパー特報「奥様大満足の家」という内容で、H邸(コッコハウス)の他に3件の家が紹介されていた。どの家も個性的で、建て主の意向が反映されている。そしてどの家族も自分達の家に満足していた。コッコハウスも、鳥の顔をしている外観や家の中のすべり台等、楽しい家の表情が紹介されていた。子供達がすべり台を滑ったりしている姿や奥さんのコメントからはこの家に満足している様子が伝わってきた。住むことを楽しんでいるようで嬉しくなった。

 折角だから、もう少しこの家のことを説明すると、この家のある喜多方という町は、とても雪が多いので、落雪の関係を考慮して、屋根が急勾配になっている。そのためリビングの吹き抜けも必然的に高くなり、のびのびとした空間が展開している。また、ご主人の希望で作られた囲炉裏は、夜柔らかな灯かりのもとで何ともいえない雰囲気を醸しだしている。映像からそんな空間的な心地よさが伝わってきたら、もっとよかったのにな・・・。ちょっと残念!


 シックハウス症候群

  最近、シックハウス症候群に悩まされている人たちについて、TVで特集をやっていた。念願かなって、家を新築したが、引越しをしたとたんに体調がすぐれなくなってしまったとか、会社にいる時はいいけれど、家に帰ってくると具合が悪くなってしまうというものだった。
原因としては、接着剤、塗料、防腐剤等があげられていた。現代人が敏感になったのか?家が変化しているのか?それは分からないが、どちらにしても折角建てた家に住むことが出来ないのは悲しい。

 設計を依頼してきたお客さんのなかにも、その点にこだわりをもつ人が多い。環境や健康に対する意識が高くなってきているのだろう。なかにはすご〜く徹底している人もいる。衣類は自然素材(綿・木綿等)しか身に着けないし、 電子レンジは使わない、携帯電話は持たないというこだわりようだ。所長も普段からその点については気を使ってきたが、いつも以上に慎重になり、塗料・接着剤の成分までも詳しく調べ、いっとき設計事務所が大学の研究機関と化していた。

 打合せを重ねた結果、特に下記の点についてこだわることになった。
  
・ 化学製品は極力使用せず、自然素材を多用する。
・ 呼吸した内部仕上げとした。(珪藻土・杉材等)
・ キッチンはステンレストップのシンプル品でコンロは置型タイプ
・ 断熱材は羊毛製品
・ OMソーラーによって家を暖かくする
・ 環境ホルモンから回避するために、水道管をステンレスにした
   (通常は塩ビ管が使われている)
 
 
これからも環境や健康にこだわる人達が増えてくるだろう。参考になればと思う。

 先日、用事があって行った病院でリフォームをしていた。青いビニールに覆われた向こう側から接着剤の臭いがプンプンしていた。元気な私でも少し気分が悪くなったぐらいだから、病気の人はたまったものではないだろう。医療機関ならば、もっと気を使って欲しいなあと思う。


 ただいま勉強中

 昨年、住宅が完成し、オープンハウスを開催することになったので、私も手伝いに出かけた。主に、同業者をお招きしてのものだったので、対応はスタッフがしていたが、私にも何人かの人が質問を投げかけてきた。私は張り切って参加した割には、何の予備知識もなく、ただあたふたしてしまうだけだった。何のための手伝いだったんだろう。う〜ん、不甲斐ない。やっぱり建築の勉強をしなければという気持ちがひしひしと湧いてきたので、ただいま勉強中である。といっても難しい建築の本を読んだところで眠くなってしまうだけなので、主人の話を聴いたりして、生の勉強をしている。

 そんな訳で最近では、主人と一緒に打合せにも顔を出す。やっぱり家を新築するという事は、人生における大きな出来事のひとつであるから、お客さんの気合の入れ方が違う。あっという間に時間が過ぎていく。取り留めのない話が続き、特に何も決まらない時もあるが、『その雑談が大事なんだよ。』と主人は言う。そのためか、お客さんのなかには、打合せのあと『精神科のカウンセラーを受けるよりも、村松さんと話した方がいい。』と言ってくださる方もいる。スタッフにも、『所長はまるでカウンセラーのようですね。』と言われていた。

 主人は、基本プランを提案するまでお客様と徹底的に話し合いの機会をもつ。住宅に対する要望、考え方はもちろん普段の暮らし方、仕事のこと、趣味、そしてお客さんの生い立ちにまで話が及ぶ事もある。その人(家族)にとって一番過ごし易い空間・心地よい空間を提案するためには、話し合いを重ね、お客さんの内面を引き出す必要があるようだ。そうして何を求めているかを理解したうえでないと設計はできないらしい。聴いていると、すご〜く面倒くさい。好きでなければやっていられない仕事だ。『もっと適当でいいじゃん』なんて大雑把な私は思ってしまうが、そこは頑固職人、その考えは揺るがない。

 そうやって練り上げた基本プランをテーブルに広げた時の、お客さんの驚いた顔を見たり、『やっぱり村松さんに頼んでよかった。』という言葉を聴くととても嬉しそうである。主人は、その瞬間のために頑張っている、結構単純な人間なのかもしれない。
 
  

 それぞれの旅立ち

 先月スタッフの結婚式があった。祝辞を述べなければならない主人は、数日前から胃の調子が悪く、胃薬と一緒に結婚式のスピーチ集を買ってくると言うので、「スピーチ集の文句なんて、“3つの袋”とか書いてあって、皆な言っているからつまらないよ。そんなの私聞きたくないなあ」っていったら、少々困っていた。「やっぱり皆が興味がある事、聴いてみたい事を話した方がいいんじゃない。」って言ってみたら、「それじゃあ出会いのことを話そう」という事になった。

 彼との出会いはメールだった。ある日突然、「村松さんの建築に興味があります」というメールが届いたのだ。事務所に来てもらうと、その日は建築談議に大いに盛り上がった。
数日後、「村松さんの事務所で働きたい。」というメールが届いたが、主人はちょうど出張していてすぐに返事を書くことができなかった。後でその時の事を本人に聞いたら、「駄目なのかなあ」ってドキドキして待っていたという。再び事務所を訪ねてくれた彼は、「僕は設計の職人になりたいんだ」と眼をキラキラさせていた。
そんな事務所で働くようになった経緯と、シドニーオリンピックの日本対ブラジル戦で興奮していたエピソードを交えて、冷静そうに見えるけれど、本当は熱いものが流れている彼自身の事を短くまとめ落ち着いて話していた。様に見えたが、実際はマイクが震えてしまうので、両手でしっかりと押さえていたらしい。なぜか私もドキドキしていた。

 そんな彼は、今新婚旅行中であるが、3年間の修行期間(?)を終え、N君は和歌山に帰っていった。D社の社長さんが、主人の建築をとても理解してくれていて、息子さんのことを前々から頼まれていたので、N君は大学を卒業すると同時に事務所で働くことになったのだ。当初は学生気分が抜けず、遅刻も多くて、大丈夫かなって心配したものだったが、3年間でみるみるたくましくなり、今では事務所にはなくてはならないスタッフの一人になっていた。7代目の社長を目指し、頑張ってほしい。

 別れがあれば、出会いもあった。新しいスタッフが入ったのだ。子供の頃から、設計士になるのが夢だったというYさんだ。今まで現場監理の仕事をしていたが、やっぱり設計の仕事をしたいということで、スタッフ募集に応募してきてくれた。図面を書くのが大好きだという。それも手書きの図面が・・・。面接の時に持ってきた図面を見た主人は「図面を書くのが好きでしょう。図面を見れば分かるよ」って言っていた。頑張って夢を実現させて欲しい。
       

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