ひさしぶりの餅拾い
12月某日、澄みきった青い空がとても気持ちがいい。暖冬のせいか、12月にしては暖かく餅拾いには絶好のコンディション。ひさしぶりの餅拾いで胸がわくわくする。一緒にいる友人も興奮のせいか心なし顔が上気している。
一軒目を終えた人たちがぞろぞろとやって来た。この日は、同じ地区で上棟が3軒あるため、話し合いで餅投げは30分刻みで行われる。ましてこの家は、お餅を7俵も投げるという。その噂を聞きつけてか人数はどんどん膨らんでいく。少し不安になってきた。
祝詞が終わり餅投げが始まった。“よ〜しがんばるぞ”と気合を入れるが、お菓子は、風にのって右の方に流されていく。お餅は、体には当たるのになかなか拾えない。やっぱり長いブランクで勘が鈍ったのか、場所取りに失敗したらしい。
やっと転がってきて“やった〜”と思った瞬間、横から手が伸びてきた。横を見ると、で〜んと地べたに腰を据えたおばあさんが、次から次へとお餅を拾っている。なんて素早いんだろう。どう見てもおばあさんなのに・・・。侮れがたし老人力。これは負けてはいられないと気合を入れ直した。
長〜い餅投げが終わった。なんとか満足できる結果に気分がいい。心地よい疲労感で家路についた。翌日、足の付け根が痛み、膝にはあざができていた。
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