浜松・佐鳴台の家(増築&改修) |
設計コンセプト |
敷地は市の中心部から西方へ約4km。佐鳴湖東岸地域に開発された住宅地。この家を設計した30数年前にはまだ住宅はまばらだったが、今では住宅が密集する人気のエリア。 突然の電話は、「家族が増えたので増築したいのだけれど、実は洗濯物を干す部屋も欲しくて・・・」という内容だった。竣工時の図面を抱えて訪問するも、増築するにしても水路沿いの変形地には南側の僅かなスペースしか残されていなかった。 「南の庭の一角に増築して欲しいけれど、2階の日当たりと風通しだけは確保してほしい」との要望も 単純に増築するにしても、当時の建築基準に比べて現在の基準は厳しくなっているため、家全体での強度が異なってしまう。ましてや水路沿いの土地は地盤も悪い。そこで離れ(母屋とは切り離して別棟を建てる)という提案をした。母屋への日照と風通しの確保はもちろん、離れを半地下にすることで母屋の2階の窓から離れの屋根越しに遠くの景色も見渡せるという寸法だ。1階の高さ1/2を鉄筋コンクリート造にし、上階の木造の高さを最小限に抑えたことで、災害に強いシェルターとしての役割も果たすことになった。 離れが完成した後に母屋の大改修が始まると、2匹の犬たちは離れに移された。心細そうな声をあげて鳴いていたので心配したが、しばらくしたらすっかり馴染んで心地よさそうに眠っていた。 ご主人が生前「この家はとても気に入っているから、何があっても壊さないでほしい」と口にされていたそうだ。その言葉を胸に刻みオリジナルの部分を壊さずに、より快適に暮らせるようにアイデアを盛り込んだ。当時は小学生だった娘さんが家庭を持ち、再びこの家に戻って同居されている姿を見て時の経つのは早いものだと感じてしまう。(村松) |
離れを見る | 母屋と離れをつなぐ渡りデッキ |
離れ2階、洗濯・物干し室 | 離れ2階・洗濯・物干し室 |
洗面室改修後 | 浴室改修後 |
〒432-8002
静岡県浜松市中区富塚町1933-1
TEL.053-478-0538