掛川市森林組合新事務所 |
ソーシャルデザイン部門/建築・空間分野において ウッドデザイン賞を受賞 |
設計コンセプト |
社会資産のひとつとして愛される建築 緑豊かな森を見渡すことのできる周辺環境に呼応した形態、まちに対して開くことを意識した建物の配置とデザイン、簡素でありながら質感の高い仕上げ材を選択しました。 自然エネルギー利用を取り込んだ建築 自然豊かな環境であることから、積極的に日照や通風を取り込む設計を心掛けました。夏期においては日差しを遮りながらの通風を、冬期においては自然光を取り入れながらの防風を、屋根と庇のコントロールによって実現。 日本人の美意識に問いかける建築 本計画の事務所棟は木造です。住宅よりもボリュームのある中規模木造建築は、多くの場合木組みを表しにした骨太のデザインになりがちですが、今回は敷地における建築全体のプロポーションを決めた後、骨格となる主要構造部の寸法と間隔、さらにはそれに取り合う面材や開口部の位置と大きさを慎重に定めることで、美しさを追求しました。 地球にとってやさしい建築 製造〜使用〜廃棄に至るまでのエネルギー消費の削減、空調負荷を減らすための高断熱仕様、日射調節を考えた開口部仕様等は次世代に対応できるものとして計画しました。なかでも多くの部位に使用するW・ALCは、「Attain Low Carbon Society」の略で、挽き板を10枚集成積層した厚さ12p、長さ3〜4m、幅45cmのスギ・ヒノキのパネル。「低炭素社会の実現」という理念を持ち、一般の国産材(地元材)を使用できること、高断熱な素材で仕上げを兼ねられることが特徴です。(文:村松) |
<掛川市森林組合新事務所を見学して> |
三方を山に囲まれた立地。山と言っても、藤村の描いた木曽路のような険しさはなく、なだらかで優しい。私の訪ねた日は、木々の緑はまだ淡く良く晴れ上がっていた。どこまでもどこまでも続く青い空。新事務所は東の空に向かってなだらかに昇っていた。 エントランスを進んでいくと、木組みの事務室に目を見張った。構造設計の山辺さんから最初に提案されたプランは、骨太のがっしりした構造だった。それが建物の強度や予算の検討をしていくなかで、結果的にはすっきりとした美しい空間に纏まっていた。 2階は手前に休憩室、奥に会議室がある。この休憩室に地窓を設けるかで二転三転したようだが、設けて正解だと思った。四角い部屋の一部に地窓があることで、空気の流れと広がりを感じた。休憩室の横のバルコニーには、もうツバメが巣をつくっていた。(文:村松利枝子) |
事務所棟全景 | 事務所棟外観 |
エントランス | エントランスから事務室をみる |
事務室 (東側から見る) | 2Fから事務室をみる |
事務室(西側から見る) | 2F休憩室 |
倉庫棟 | 倉庫棟(手前)と事務所棟 |
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