| 京都・侘楽庵 |
設計コンセプト |
| 敷地は、郊外の閑静な住宅地の中にある。北西道路の角地であることから道路側の見通しは良いものの、南東側は隣家が迫っていて窮屈な感じは否めない。北道路は傾斜がなく進入には問題がないが、西道路は傾斜が大きく高低差の処理が難しいように感じられた。それでも、東と北の民家の庭の木々や遠くに望む比叡山がこの土地のご馳走で、これらを頼りに計画を進めてみることとした。
配置は北と東に基準のセットバックいっぱいまで寄せ、南側の距離を確保しつつ、西側にもゆとりを持たせるようにした。駐車スペースは北側に台、アプローチは道路との高低差が少ない北西角とし、自転車の持ち込みが出来るようにスロープとしている。室内は、明暗と広狭が融合したメリハリのある空間に仕上がった。居間の吹抜けの窓からは自然光が降り注ぎ開放的な設えであるのに対し、北側の８畳は高さを押さえた天井と窓が陰翳を醸し出し北庭へと視線が運ばれるデザインとした。それぞれの場が目的をもって共存するような、そんなプランが完成した。 精神を落ち着かせる侘びた世界観と、己の音を楽しむ価値観が詰まった住まい。これからどのようにしてこの土地に根付き、染まっていくのだろうか。 10年後、20年後の佇まいが楽しみである。（文：村松篤） |
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村松篤設計事務所
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