信州・OMの町角 | (有)村松篤設計事務所

信州・OMの町角

設計コンセプト

<設計概要>
江戸時代、城下町や宿場町として栄えていた上田市。北国街道沿いには、当時の職人達が魂を込めながら丁寧につくりあげた美しい町並みが、見事に残されている。一見地味に見える町並みだが、うだつや連子格子に見られるように、日常生活における知恵がそのままデザインに反映されていて、とても興味深い。また、それらは一方で盆地特有の気候（1年を通して寒暖や気温の差が激しく、あまり強風は吹かない）が、その土地ならではのデザインを成熟させている要因なのかなとも思う。私はそういった先人達のアイデアの中から、現代において必要とされるものを新しい表現でかつ、永くその町に生き続けるような民家をつくりたいと強く感じた。　

<設計条件>
市の中心部から川を渡り、南西方向に車を10分走らせたところにその敷地はある。周辺は閑静な住宅地で、西と東に道路が走るもののそれを利用するのは住民達だけのようなので、交通量は少ないように思われた。2階レベルからは遠くの山並みを家々の合間から望むことができ、また適度な通風も期待できそうである。ただひとつ気になる点は、南側隣家の敷地境界線に接近して建てられているため、B棟（南側の住宅）への日照の確保をどう図るかということであった。

A棟
一般的な広さの敷地の場合、すこしゆったりしたプランニング（次の間があったり、2階ホールが広々していたり）で、大きな吹き抜けが可能になる大屋根プラン

B棟
敷地が狭い場合には、コンパクトなプランニング（廊下のない合理的な空間構成、家具配置をあらかじめ考慮）で、日照を確保するため2階リビングが可能になる総2階プラン（文　村松篤）