| 遠江・奏庵 | (有)村松篤設計事務所

静岡県住まいの文化賞優秀賞受賞

遠江・奏庵　

設計コンセプト

　この奏庵の１階は、リビングを中心にダイニング、キッチン、そして和室があります。中２階レベルにトイレ、洗面、風呂の水回りを配し、２階は寝室と学びの間というとってもコンパクトな家。だけどリビングは吹き抜けとデッキへの繋がりによって、とても広々と開放感に満ちています。このリビング（正確にはリビングの延長の部屋）にはピアノが置かれ、音楽を奏でながら生活していけたら素敵だなあという想いが実現しました。ちょっとしたお茶会（内輪の発表会）を催すことができます。また、リビングに隣接した和室からは坪庭が眺められます。日常の疲れを癒してくれることでしょう。

　特徴としては、基本的に１階はワンルームになっていますが、微妙に視線をそらせながら間仕切りを施すことで、空間が引き締まり、流れ（リズム）を生まれました。施工において構造材に松材を使ったことで、空間は明るく華やかになりました。屋根と壁の間のスリットからは、自然の光が差し込んでいます。そして床暖房による自然な暖かさも実現しました。そんな空間を包むように、大屋根が架けられています。この屋根は京都でよく見かけられるむくり屋根（屋根が少し丸みをおびている）。この辺りでは珍しいのではないでしょうか。（文　村松利枝子）